株式会社キタゾノ 代表取締役 北薗幸二 氏
掲載号:「中小企業かごしま」2010年7月号掲載
自動車に携わるきっかけは
自動車に携わるきっかけは、昭和38年、父親が北薗モータースという整備工場を創業したのが始まりです。その当時は単車の整備がほとんどで、たまに軽自動車の整備を行う小さな町工場でした。
25歳のときに父から会社を引き継ぎ、「父に負けない会社を作る、そして父を超える」という目標に向かって今日までやってきました。
そして、転機が訪れました。昭和52年、当時、工場がだんだん手狭になり、公害等の環境面にも配慮しなければならない時期に来ていました。そこで、国の中小企業高度化事業制度を利用することとし、現在地に移転しました。しかしながら、現在地へ工場を移転することは、これまで培ってきた顧客を失うことになり、膨大な借金も抱えることになる。まさに一大決心でしたが、時代の流れ、自動車産業の変化に対応するためには、移転は必然的なものでした。これが、現在の本社工場となっています。
ホスピタリティー(おもてなし)の心で車検整備
平成17年に新たに指定工場を設け、「ホームセンターニシムタ」と提携した「ニシムタ車検」を始めました。商業施設に工場を構えることで、「買い物の間に車検ができる」を最大の売りにしています。お客様の立場からすれば、車検は面倒で安く早く済ませたいのが本音だと思います。しかし、早い、安いだけではお客様は選んでくれません。しっかり説明したうえで、必要な整備を行う。安心、安全は絶対条件ですが、決して過剰な整備は求めていません。そこで、商業施設を訪れる不特定多数のお客様にニシムタ車検のユーザーになっていただくため、「立ち会い車検」の制度を取り入れました。お客様と一緒に入庫した自動車の整備箇所を確認し、説明したうえで、短時間で車検を行う。工場もオープンで清潔なイメージを大切にしています。こうしたホスピタリティーの精神を徹底することからはじめました。おかげさまで今では多くのユーザーからの支持を得ることが出来ました。なかでも女性ユーザーが増えました。女性にも分かりやすいように説明する。車検をするのも、お金を払うのもお客様。押し売りではいけない。おもてなしの心で、ユーザーに気持ちよく車検を受けてもらい、「ありがとう」といってもらえることを目指しています。
新たな事業展開~自動車の総合商社を目指して~
平成21年、ニシムタ谷山店のリニューアルオープンに合わせて、同商業施設内に自動車販売の展示場を構えました。施設の中なので天候に左右されない利点があります。しかし、一番の利点はニシムタとの相乗効果でした。買い物に来るファミリー。その中でも、お父さんです。奥さんやお子さんが買い物している間に車を見てもらう。買い物ついでに車もみていただくことで、自動車に触れる機会が増え、購買意欲を刺激し、非常に良い相乗効果を生んでいます。
現在は、販売・整備・保険といった、カーライフ全般にわたる商品を提供することで「自動車の総合商社」としての展開を図っています。ディーラーや他社がやらないようなサービスを今後も展開していくつもりです。そして幅広いユーザーの獲得に努めていきたいと思っています。
鹿児島県中古自動車販売商工組合(JU鹿児島)の理事長として
自動車業界、特に中古自動車の業界は競争が激しい業界です。倒産や廃業等で淘汰され組合員は年々減少傾向にあります。また、組合を取り巻く環境も厳しさを増しています。組合で毎週金曜日に開催しているオークションも、大企業によるオークション事業への参入が相次ぎ競争の時代に入っています。このため組合では、オークション会場として魅力あるものにするために様々な取り組みを行っています。福岡県との合同開催やディーラーを加えた開催など、利用率のアップを図っています。オークション会場としての信用度アップも求められます。品質の高い商品を適正価格で取り引きするためには会員の資質の向上が欠かせません。ハイブリッドやEV等、年々進化する新しい技術に対応するため、会員の技術の向上が求められています。
政府の打ち出す施策で一喜一憂するのもこの業界の特徴かもしれません。現在行われているエコカー減税は、メーカーやディーラーにとっては追い風になっているようですが、中古自動車業界にとっては逆風となっています。しかし、不平不満を言っても始まりません。めまぐるしく変化する施策や制度にいち早く対応し、いかに生き残るかを考えるべきだと思っています。
理事長として、組合員同士の結束を大事にして、今後も様々な取り組みを続けていきたいと思っています。
概要
前身である北薗モータースから昭和47年に現在の(株)キタゾノへ社名変更。従業員17名、展示場2ヵ所、工場2ヵ所を有する。関連企業に不動産を扱うキタゾノハウス、ゴルフ場、ホテル、携帯電話ショップを扱う北薗商事がある。