エス・パックス株式会社 代表取締役社長 下園廣一氏
掲載号:「中小企業かごしま」2011年5月号掲載
私たちの身近なところで毎日の生活の中に密着し欠かせない存在となっている段ボール。 本号では、この段ボール箱を中心に、化粧箱、貼箱などを製造するエス・パックス株式会社代表取締役社長の下園廣一さんに段ボールのヒミツについていろいろな角度からお話を伺った。
社名「エス・パックス(S・PAX)」の由来は
みなさんには永年、「下園紙工業株式会社」の商号で親しまれてきましたが、今年の3月1日に「エス・パックス株式会社」に商号変更を行いました。
「エス・パックス(S・PAX)」という名前は、社内に平成元年に段ボール、貼箱、化粧箱などの商品やこれらの製造工程をいつでもご覧いただけるように開設したショールームに付けた名前で、「S」は「Shimozono」、「PA」は「Package & Packaging」、「X」は「未知数」から由来しています。
また、平成16年に九州新幹線が部分開業した際に、伊藤知事が鹿児島発展のキーワードとして「7つの『S』」を掲げられました。7つのSは「Sakurajima(桜島)」「Saigo-san(西郷さん)」「Shochu(焼酎)・Slow food(スローフード)」「Spa(温泉)・Slow Life(スローライフ)」「Shinkansen(新幹線)」というものでした。
今年、平成23年は九州新幹線が全線開業し鹿児島にとって新しい時代の幕開けとなりました。当社「S・PAX」もこれら『S』の一員に加えていただけるよう、また、「鹿児島の県産品を包む」「鹿児島の発展に寄与する」「鹿児島から情報を発信する」ことで、鹿児島に貢献できるようにという願いが込められています。
日進月歩
日進月歩の技術発展により段ボールの機能も飛躍的に進歩しています。中に包む製品や商品の用途・性質にあわせて、それぞれの機能を高めたものがあります。
例えば、温度変化に弱い商品のための鮮度保持段ボール、湿度を嫌う電子機器のような商品を保護する防湿段ボール、水に濡れてはいけない商品を保護する防水段ボール、重量物等の梱包も可能にした強化段ボール、安全性に配慮したノンステーブル段ボール、そのほかにも導電性段ボール、防錆段ボールなど用途やシーンに合わせて様々な機能性段ボールが作られるようになり、皆さんのまわりでも段ボールが使用される機会が増えているのではないでしょうか。
また、パッケージ商品の製造工程も近年、飛躍的に進化しています。パッケージ商品を考える場合、何を包むのか、どの材質が最適か、サイズ、容量、強度、などを勘案しつつ、デザインやコストなどお客様のご要望に最大限に応えられるような製品作りが重要です。そのためには、まず試作品(商品サンプル)の製作が欠かせないのですが、技術の進歩により現在は、CADや大型プリンター、サンプルカッター等の機器を用いることで、試作品をわずかな時間で1個からでも作製できるようになり、お客様への商品提案がスピードアップしました。
私が会社に入った頃(20年程前)は、試作品はカッターナイフやハサミ、塗料などを使ってすべて手作業で作っていました。営業先で試作品を10個、20個と頼まれると正直なところ大変だった思い出があります。
段ボールは、何度も生まれ変わる~環境対策への取り組み~
段ボール箱は一般的にはワンウェイで使用されることから、常に新しく衛生的な段ボール箱を使っていただくことができるのですが、その一方で使い捨てのイメージが強いのが実情です。しかし実際は、段ボール箱はリサイクルの優等生なんです。段ボールはリサイクルシステムが確立されており、95%以上が回収され、段ボールの原紙には90%以上の古紙が使われています。しかも、段ボールの元になる原料は間伐された木や使われずに残った木、家などに使われた古材が使われています。
皆さんの家庭や職場で発生する使用済み段ボールは、古紙回収業者を通して回収され、製紙工場で再度紙に生まれ変わります。万が一、リサイクルされずに放置されたとしても、最後は土に還る天然素材で作られており、環境にやさしい包装紙材です。
当社をはじめ全国180社285事業所が加盟する全国段ボール工業組合連合会では、段ボールリサイクルマークを定めリサイクル率の向上をはじめとする環境対策に積極的に取り組んでいます。
概要
大正8年に樋之口町で創業(法人設立は昭和28年)。昭和36年に田上町に移転。昭和56年に現在の谷山港へ移転。
平成13年に下園廣一氏が先代の廣行氏の後を引き継ぎ、社長に就任。
平成23年3月に商号を「下園紙工業株式会社」から「エス・パックス株式会社」へ変更した。従業員数はパートを含め110名。
段ボール・化粧箱・紙箱等各種包装資材の製造販売を行っている。