鹿児島県中小企業団体中央会は、中小企業が1社では実現できない様々な課題について、連携組織を活用した経営革新・合理化を提案します。

株式会社奄美大島開運酒造 代表取締役社長 渡 博文 氏

組合・企業インタビュー

夢を描き 夢をかなえる 宇検村への熱い想いを胸に

株式会社奄美大島開運酒造 代表取締役社長 渡 博文 氏

 14年前に、焼酎造りの素人だけで始めた 株式会社 奄美大島開運酒造(以下、開運酒造)は、今や日本一の黒糖焼酎製造会社に成長した。酒造会社が群雄割拠する奄美群島で、異業種から参入した会社が目覚ましい成長を遂げた秘密はどこにあるのか。渡博文社長にお話しを伺った。

ホテル業から未経験の黒糖焼酎造りに参入

渡博文氏
渡博文氏

 「父が建設会社をやっていましたので、あとを継ごうと思っていたのですが、今後 島の発展には観光業しかないと考え、昭和41年に、奄美でははじめてのホテルを開業しました。その後、昭和43年に『明治100年』ということで、皇太子殿下(今上天皇)が鹿児島に行啓されたときに、奄美にもお立ち寄りになられ、わたしどもの奄美観光ホテルに宿泊されました。その翌日4月9日の夜明け、大浜海岸に海水浴にお出かけになられたことが全国に報道され、奄美の宣伝となり、その頃から奄美の観光に火がついたように思います。
 奄美といえば、大島紬に黒糖焼酎ですが、この黒糖焼酎で誘客ができないかと考え、小さな酒造会社の経営を引き継いだのが平成8年です。父とわたしのルーツである宇検村に、焼酎工場を作ろうと青写真を描き、実現に向かって走り出したのが、現在の開運酒造の始まりです。
 立ち上げメンバーには、焼酎造りの経験者は誰もいませんでしたが、工業技術センターにスタッフを派遣したり、笠沙杜氏を技術顧問に迎えたりして、徹底的に基本を学びました」


女性をターゲットに絞った製品開発

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 「奄美には27の酒造会社があります。後発の我々が先輩方の会社と同じことをしても生き残っていけないと思い、違う方向性を探り、女性にも楽しんでいただける製品づくりを目指しました。
 以前は女性に敬遠されていましたから、そこに食い込んでみようと考えたんです。杜氏も営業も女性、ネーミングにも女性の意見を取り入れました。ボトルの色も『ブルーなんて売れないよ』と忠告を受けたにもかかわらず、『わたしたちは駆け出しなんだし、何でもチャレンジしてみればいいんじゃないか』ということで、奄美の海と空をイメージした明るいブルーにしたんです。
 クラシック音楽の振動をタンクの焼酎に聴かせる音響熟成により、水分クラスターを細かくした、まろやかで飲みやすい焼酎が出来上がりました。こうして生まれたのが『れんと』(Lento:音楽用語で「ゆったりと」)です。
 平成16年頃をピークとした焼酎ブームで、売り上げも増加していきましたが、そうなると地元の酒造メーカーがどんどん県外に向けて販売を強化し、島内に焼酎が残らなくなってくる。
 わたしたちは、このとき県外に出荷することを控えたんです。地元を大事にしたい、地元で飲まれない焼酎じゃダメだと。この時期に、島内でも地歩を固められたのではないかと思います。戦術が時代とうまくかみ合ったんでしょうね」


宇検村の恵みに黒糖焼酎製造技術を活かして農商工連携

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 「開運酒造とほぼ同じ時期に、宇検農産という農業法人も立ち上げています。原料も自分たちで作りたいという思いがあったからです。
 特定地域に計画的に作付をして、全量買い上げができれば、農家も安心して生産できるし、畑も復活する。しかし、宇検村の面積のうち9割は山地であり、加えて奄美は台風銀座ですから、農産物の生育はなかなか難しい。難儀なことが多いのに割に合わないなぁと思いましたが、5年かかってやっと軌道に乗ってきました。
 この宇検農産の生産物と、開運酒造の技術を生かすべく取り組んだのが、農商工連携に認定された『奄美大島の地域資源を活用した食前酒の製造と販路開拓』です。規格外品のパッションフルーツやたんかんを有効活用して、本物志向の女性層に向けた製品開発に取り組んでいます」


観光で奄美の浮揚を!

 「33歳でホテル経営を始めて以来、観光で奄美の役に立ちたいという思いは少しも変わっていません。
 鹿児島と沖縄の間にある亜熱帯。
 この場所の価値を見直してもらいたい。
 観光産業が浮揚すれば、島内交通や飲食業など様々な産業への波及効果があります。
 『焼酎がおいしい』だけで終わって欲しくない。
 その背景、島の文化まで知って欲しい。しかし観光産業は力がないとできません。他の業種からホテル業に参入するケースもありますが、副業的な位置付けではなかなかうまくいかない。『観光バカ』みたいな人間が真剣に取り組まなければ。観光で奄美を、そして宇検村を元気にすること。それがわたしの夢です」

[取材メモ]

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 渡社長が未経験で焼酎造りに参入したのは63歳の時。その道のりは、「やったことがないし」「もう年だし」と立ち止っている多くの人に希望を与えてくれる。
 人間、何歳になっても、強い思いがあれば願いはかなっていくのだ。
 もちろんそのためには並々ならぬ努力も、行動力も必要だっただろう。
 そんなときに、ルーツである宇検村の人が、自然が、社員が、社長の夢を支えてきた。
 渡社長は取材終了後に「自分一人では、こんなことできませんよ。社員が熱心にやってくれてますから、ここまで来ることができたんです」と話し、笑顔を見せた。


奄美観光グループ 企業概要

  • 株式会社奄美大島開運酒造
    • 平成8年4月設立 黒糖焼酎・黒糖もろみ酢飲料の製造販売 従業員56名
  • 株式会社奄美大島宇検農産
    • 平成8年2月設立 農産物の生産販売 従業員9名
  • 奄美観光株式会社
    • 昭和29年7月設立 総合宴会場・レストラン・開運の郷・遊技業など 従業員160名

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