鹿児島県中小企業団体中央会は、中小企業が1社では実現できない様々な課題について、連携組織を活用した経営革新・合理化を提案します。

共同フェリー運輸株式会社 代表取締役社長 里村定夫 氏

組合・企業インタビュー

「安全第一」海・陸・港が結ぶ一貫輸送

共同フェリー運輸株式会社 代表取締役社長 里村定夫 氏

業界に入るきっかけは

里村定夫氏

 私が昭和32年、地元の高校を卒業して鹿児島に本社を置く海運会社の種子島営業所に入社したことが業界に入る最初のスタートです。
 翌年、入社した会社が営業所を廃止したことに伴い、家内の親父が営んでいた小倉運送店が代理店として引き継ぎ、営業を行っていました。
 当時の運搬船は、現在のような鉄の建造物ではなく木船1隻で油の入ったドラム缶、米、ソーメンなど食料品を中心に運んでいたものです。
 しかし、木船は構造上、船倉内を密閉するので熱をもちやすく、蒸しぶろ状態になり特に野菜など食料品にとっては鮮度を保つ上で最大のネックになっていました。これらをなんとかできないかと考えた末、自動車を積み込み庭先から庭先まで届ける方法を思いつきました。
 これが今でいういわゆる「ロールオンロールオフシステム」といわれるもので全国でも先駆けとなりました。
 自動車を積み込むためには、船自体の構造を木から鉄へ変更する必要があり許認可を取るのが大変でした。しかし、当時「貨物フェリー」といった輸送形態は日本では初めての取り組みだったと思います。最初は200トン級1隻からはじまり、はじめての荷は軽四輪自動車1台でした。今では地元の野菜、米など農水産物を中心に宇宙ロケットの本体及び打ち上げ用の高圧ガス燃料も運んでいます。
 あまり知られていませんが、種子島の牛乳(原乳)は甘くて評判がよく毎日都城のメーカー工場まで届けていますよ。


業務内容は

 離島と本土を繋ぐ重要な役割を担い、海・陸・港の一貫輸送を手掛けています。近年、貨物の大型化、特殊コンテナ等により港湾荷役が複雑化しスピード化が図られないのがネックでしたが、わが社は、これらのネックに対しいち早く情報システムを整備することにより対応してきました。
 点在する輸送情報をトータルラインにより集約し広範囲なネットワークで管理運営しています。また、昭和40年代に「ロールオンロールオフシステム」船を建造導入したことが港湾荷役の一層の効率化を推進したと思います。
 普通、船に貨物を積み込むためには、自動車で集荷、クレーン等を使って船倉内に積み込むのですが、ロールオンロールオフシステムはトラックがそのまま船の中に入れますから荷を積んだまま目的地に行けます。
 もちろん共同フェリーが保有する大型クレーン、大型トレーラー、特殊車両などが港湾荷役ではフル稼働し、スピードアップに貢献、海・陸・港の一貫輸送を支えています。現在、フェリーは4隻、セメント専用運搬船1隻を保有し離島と本土を結んでいます。

画像の説明

高速道路の無料化について

 高速道路が無料化されますとフェリー業界は利用者の激減で大打撃を受けることが予想されます。特に、関西方面は影響が大きいと思います。
 わが社の場合、貨物フェリーにより離島から本土へ荷を運び、そのままトラックで首都圏へ運ぶケースが多いのですが、高速道路の無料化により運送コストの削減が図られる利点があります。
 ですから,高速道路の無料化は業者にとって歓迎すべきことですが、一般道から車両が高速道路に入り込むため逆に混雑渋滞し、貨物を届けるドライバーの拘束時間が長くなり、場合によっては、今まで1人のドライバーで対応していたものが2人確保しなくてはならないという人件費の増加も懸念されます。
 また、荷主から高速道路が無料になった分、運賃値下げの要求も出てくる可能性があります。これらの影響を考えると、高速道路無料化は有難い反面,企業によっては対策を考えないといけないところも出てくると思いますね。

会社の理念・社長のモットー

 社訓に「和合」「企画前進」「人に負けない努力」「何事も自信責任」「失敗を恐れるな」を掲げていますが、「安全第一」が何事にも優先すると思います。人の命あっての企業経営だからです。危険度の高い業務が大半だけに安全には人一倍気を使います。現場で働く従業員にも徹底させています。


取材メモ

 物流で離島を支えるという使命感が今日まで氏を支え、離島の多い日本の内航運送業界に貢献したいという氏の思いを強く感じた。平成20年4月、長年の功績が認められ黄綬褒章を受章。業界発展のためにますます期待がかかる。

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